皆さんはダークトライアドという気質をご存じでしょうか。
3つの悪の気質とも言われるこのダークトライアド傾向の高い人が組織やグループに居ると、トラブルメーカーになったり、社会的な問題行動を起こしたり、最悪の場合犯罪をも起こす可能性があると言われています。
あなたの身の回りにも、当てはまる人が居るかもしれませんよ・・・
ダークトライアドとは?
ダークトライアドとは、①サイコパシー(サイコパス)、②マキャヴェリズム(マキャヴェリスト)、③ナルシシズム(自己愛傾向)、3つの特性をすべて持っている人を指します。
それぞれ単一の性格かつ重度でなければそこまで問題はないものの、3つ全てを持っている人となると問題です。
対人行動において相手を平然と裏切ったり、叩き落としたり、傷つけたり。
また、コンプライアンス等を遵守しない、横領する、強盗や殺人‥と、ひどい場合は取り返しのつかない利己的な行動に走る場合も。
3つの性質についてもう少し詳しく説明する前に、まずは簡単なテストです。
当然それぞれの気質はちゃんと調べるとなると非常に診断が難しく、専門家の元しっかりとした検査などが必要になってきますが、このテストにどう答えるかでその人がダークトライアドである可能性や、人間的に問題があるかどうか、サイコパス気質を持っているかなどが少し判ります。
「トロッコ問題」をやってみよう!
【質問1】あなたは線路の分岐点、レールの切り替えレバーの前に立っています。そこへ暴走したトロッコが走ってきました。トロッコの進行方向には5人の作業員が作業をして居ます。
このまま何もしなければ5人の作業員は死んでしまいます。しかしあなたがレバーを切り替えれば、1人の作業員が作業をしているレールへと切り替わり、1人の作業員の命と引き換えに5人の命は助かります。
あなたはレバーを切り替えますか?
こちらの問題、自分には荷が重い…や、1人の命を犠牲にしてもいい訳じゃないし…と悩む素振りを見せた人はダークトライアド指数は低いと言えます。
反対に即答で「え?切り替えるでしょ」と答えた人はダークトライアド指数は高めと言えます。
要は「線路を切り替える事を自分の道徳観念が赦すかどうか」が焦点であり、多数を救うために少数の犠牲はやむを得ないという考えの強さを測るものですね。
さて、先程切り替えると答えた方は、質問2に進みましょう。
【質問2】あなたは線路の上にある橋に居ます。下の線路を制御不能のトロッコが走っています。
トロッコの先には5人の作業員が居り、このまま何もしなければ5人の作業員は死んでしまいます。
さて、あなたの隣にはかなり体格の大きい男性が立っています。
その男性を線路へ突き落せばトロッコは止まりそうですが、その場合、当然ながら体格の大きい男性は助かりません。
あなたは隣に立っている男性を突き落して、5人の作業員の命を救いますか?
こちらの問題になると流石にほとんどの人が顏をしかめたり、いやいやいや!ないない!無理!と答えるんですよね。
どちらも1人の人間を犠牲に5人の命を救っているのですが‥。
レバーを切り替えた結果トロッコに轢かれて死ぬのか、自らの手で命を奪うのかでここまで反応の差がみられるのは、人間の道徳観念というものは非常に不安定で曖昧なものだと感じますね。
当然こちらの問題にすら躊躇なく「え?そりゃ突き落すんじゃないの?」と答える人はかなりダークトライアド指数が高めです。注意しましょう。
さらに自己愛傾向のみの強さを見分けるのであれば「あなたはナルシストですか?」と聞けばいいです。
こちらも大体の人は、ナルシストじゃないよ!や、う~ん?でも自分は好きだからナルシストなのかも…?のように答えますが、自己愛傾向の強い人は躊躇なく「ナルシストだよ」と答えます。
さて、それで3つの性質についてそれぞれもう少し詳しく説明させて頂きます。
①サイコパスについて
サイコパスというと最近ではテレビやインターネットなどでもかなり馴染みのある言葉になっているのではないでしょうか。
一般的にはシリアルキラーのような残虐な殺人犯や、会話が成立しないほどの狂人をイメージする方も居るかもしれませんが、実はサイコパスにも分類があり、また、当然症状の重さにも差があります。
正式名称を反社会性パーソナリティ障害といい、情動面の障害を示す一次サイコパスと、行動面の障害を示す二次サイコパスとに別れます。
良心や共感性の欠如といった点は類似しますが、ここでは簡単に一次サイコパスは比較的社会に溶け込める、サイコパス資質を持った人と分類させて頂きます。
こちらの場合、社会的逸脱行為をしない人がほとんどであり、出世欲が高い傾向にある事もあり社会的に成功する方も多いのが特徴です。
また、共感性のなさから、人に嫌われる、周囲に溶け込まないといけないと感じる事がないので、恐れる事なく積極的に人と接するため、周囲にはむしろ魅力的な人物に映る事もしばしばあります。
一次・二次どちらにも当てはまるのですが、本当のように平然と嘘をついたり、人に罪をなすりつけたり、蹴落としたりする事に躊躇いがありません。
一次サイコパスではその特徴が特に顕著に見られるそう。
一方、二次サイコパスは大まかな特徴としては共通する所は多いのですが、一次サイコパスよりもさらに衝動性が高く、行動に移してしまうタイプが多いです。
よくテレビなどで見るシリアルキラーは、この二次サイコパスの重度の状態と言えます。
ここでは細かい所まで話し切れませんが、サイコパスの中で社会的逸脱行為に走りやすいのが二次サイコパス、ということですね。
ちなみにサイコパスは先天的なものであり、後天的(環境などによって)サイコパス的な思想や行動になる事をソシオパスといいます。
どちらも反社会性パーソナリティ障害ですが、先天性と後天性の違い、これは専門家の診断でもなかなか難しい所のようです。
②マキャヴェリストについて
こちらはまだあまり馴染みのない言葉ではないでしょうか。
マキャベリズムという思想は元々、国家の利益になるのであれば手段は問わない、非人道的な方法も辞さない、といった考え方です。
“君主論”の著者である、ルネサンス期の政治思想家ニッコロ・マキャベリッツの名前に由来し、マキャヴェリズム思想の人、支持者の事をマキャヴェリストと呼びます。
マキャヴェリストは権力・成功・勝利に執着する傾向にあり、また、その為なら手段を問わない他者犠牲的傾向にあります。
君主論の一文に
「慈悲深く、人を裏切らず、人道的で、正直で、信心深い。
こういった資質は君主にとって必要不可欠ではないが、これらの資質を持っているように見えることは、必要不可欠である。
これらの資質は実際に持つと君主にとって邪魔にしかならないが、見かけ上これらの資質を持っておくことは実に有用である」
とあるように、彼らは自身の成功の為ならば時に慈悲深く、時に同情を誘う弱者のように振る舞い、巧妙に人を操作します。
かのナポレオンやヒトラーも愛読し、影響を受けているとされている、と言えば何となくピンと来るでしょうか。
サイコパスと同様、マキャヴェリストも社会的な成功者の中には多く、視点を変えればトップの資質のひとつとも言えるので、魅力的に映る人物が多いです。
人を使うのが上手い経営者や、演説の上手い政治家の中にも多く存在するのがこのマキャヴェリストです。
知らぬうちに人を操る能力に長けている為、気をつけないと彼らの利己主義な行動の駒にされているかもしれません。
③ナルシシズムについて
ナルシシズムは、正式名称を自己愛性パーソナリティ障害といい、実はかなり多く私たちの中に紛れています。
よく聞くナルシストのイメージは自分大好き!ですが、厳密に言うと少し違います。
自己愛性パーソナリティ障害は、実は自分を完璧に認め、愛している訳ではないのです。
自己中心性、うぬぼれ、傲慢、自意識過剰、他者批判、功績は自分のものと信じ、失敗した時には人に責任転嫁する‥
実はこれらは全て本質的な劣等感から来ています。
ナルシシストの自尊心は実はとても不安定であり、否定に非常に弱いのです。
自分は優れている、特別で素晴らしく偉大であると思い込むことで、自尊心を保っているため、他者から批判されると「自分の魅力や考え方がわからないのはこいつのレベルが低いからだ!」と相手を責めるのです。
反対に自分を認め、褒めてくれる相手に対しては称賛する傾向にあります。
(優れた自分の魅力がわかるという事はこの人は優れた人間だ。この人に認められる自分もまた優れている、という具合です)
サイコパス・マキャヴェリストにも共通しますが他者を操作する傾向にあります。
自己愛の場合は自身の優越感などの為に他者を操作、利用し、自身を卑下するようなやり方は少ないそうですが、ダークトライアドの場合こうした共通する特徴は、どの性質が強く出るかによって様々な現れ方をします。
また、他者と自分の線引きが曖昧であり、人は当然のように自分の利益や優越感、喜びの為に動くものだという根拠のない期待をすることも特徴です。
サイコパス・マキャヴェリストにも言えますが、モラハラをしてくる恋人などにもこの自己愛は多いですので、気をつけましょう。
人にマウントをとって自分の価値を上げようとする友人の中にももしかしたら居るかもしれませんね。
いずれにせよナルシシストの心は非常に打たれ弱く、その弱さ、傷つくことへの恐れ、回避行動、防衛本能こそが自身の正当化や他者批判などに繋がっているのです。
ちなみに‥ダークトライアド+サディズム(加虐嗜好)でダークテトラッドと呼ばれ、こちらは更に危険人物となるようです
ダークトライアドとの付き合い方
身近な人に思い当たる方は居ましたでしょうか。
非常に困った人であるこのダークトライアド、実は対応策はありません。
正直な所関わったが最後、ただひたすらに逃げる、関わらない、気にしない、無視する、距離を置く、フェードアウトする。
これに尽きます。
というのもダークトライアドは勝ち負けにしか興味がない、批判や話し合いの意味がないのです。
事実は関係なく、自分が正しい事を証明する、認めさせるまで譲らない。
屁理屈をこね、ああ言えばこう言う、決して譲りませんし、罪悪感や共感性がありませんので反省も改善もしません。
批判に対しては弱く、批判されると徹底的に叩き潰すまでやり返してくるので、言い返すだけ無駄‥どころか、危険です。
先述していますがダークトライアドにはモラハラ気質の人が多く、またサイコパス指数が高めの場合はDVであったり、マキャヴェリスト指数の高い人ならばパワハラ傾向な人も多いのです。
元も子もないじゃん!と思ったそこのあなた。
それでも、これで次から関わったら悪戯に時間を無駄にせずに済みます。
決して「話せばわかるはず」なんて人のいい考えを持ってはいけませんよ。
そういった優しい人を利用し、搾取することに何の抵抗もない、いえ、むしろラッキー!とすら思うのが彼らですから。
ただし‥
基本的に権力を求める傾向にある人が多いので、医者・経営者・弁護士・政治家などにもダークトライアドは多く、魅力的な人物が多いのも事実。
例えば犯罪を犯すほど重度でなく、大きな事を成し遂げる人物であれば、そのリアリズム思考と行動力、カリスマ性は素晴らしい個性とも言えますね。
占い師とホステスの二刀流! どちらの立場からも人生相談を受ける事が多く、女性として、1人の人間として相談者の人生を応援。 何事もロジカルに考えるタイプゆえに、理論だけでは証明できない占いの不思議さにハマる。 |