過去と現在、近未来が占えるタロット占い。とても人気のある占いです。それもそのはず。とにかくよく当たる。何でこんなことまで分かるんだろう? ということまで当てられちゃいますよね。
使うカードは22枚だったり、78枚だったりまちまちですが、カードの数の多さや少なさでその威力が変わるものではありません。たった1枚引くだけでも、運命を見させられます。つまり、当たる。
この「当たる」秘密は、どこにあるのでしょうか。タロットの歴史を紐解きながら、秘密に迫っていきましょう。
元はカードゲームだったタロット
実はタロットは、もともとゲームの一種でした。ふだん占いで使われる大アルカナ22枚と小アルカナ56枚を組み合わせて遊びます。今でもヨーロッパでは楽しまれています。遊び方の種類はトランプと同じく多く、これといった世界標準がありません。ポーカーのようなゲームもありますし、花札のようなゲームもあります。興味のある方は、調べてみると面白いかも知れません。
記録上、残っているタロットの記述は13世紀のフランス。成立はエジプト起源説とユダヤ起源説があり、いまだ決着がついていません。カードゲームとして庶民の楽しみになったのは16世紀で、印刷技術の向上により一般に流通するようになりました。
ギャンブルの要素が大きく、風紀を乱すという理由で、何度も禁止令が出されたことも。16世紀には、積極的に占いに使用されたという記録は残っていません。
本格的に占いに使われるようになったのは1970年代
ノストラダムスの大予言をご存じでしょうか。これが大流行したのが、1970年代です。空前のオカルトブームが起きました。この時に生まれたのが、タロット占いです。
オカルトブームの火付け役が、イギリスとアメリカで起きたスピリチュアルムーブメントの「ニューエイジ」です。日本語だと「新しい世代」でしょうか。これに参加した人たちが、現在のタロット占いを作り上げました。このニューエイジの興味深いところは、オカルトやスピリチュアルを徹底的に分析した点に尽きます。インドのヨガやアーユルヴェーダ、ユダヤ教のカバラ、日本の禅にいたるまで、ありとあらゆる精神世界を考え、論じたのです。
ニューエイジが世界中の精神世界を分析した結果のひとつが、タロット占いです。カバラの秘術とタロットカードに関連性を見出し、それを占いに使用すると運命が分かると判明したのです。世界中の精神世界を分析した結果ですから、当たって当然ともいえますね。
もちろん懐疑的な意見もあった
当たると評判のタロット占い。有名になるとアンチが湧くのは、いつの時代も同じで。タロット占いが成立した1970年代から懐疑的な声はありました。
その中のひとつが、「これはバーナム効果である」というものです。心理学の現象のひとつです。一般的な誰にでも当てはまることを、自分だけに当てはまると思い込んでしまう心理状態を指します。
例えば、「過去に母親に関するつらい出来事があったのではないでしょうか?」というもの。誰しも長い人生、一度や二度、母親とぶつかったことあるはずです。それでも、目の前にいる人から直接こう言われてしまったら、自分のエピソードについ重ねてしまいます。重ねた結果、「当たっている」と思ってしまう。これが、バーナム効果です。
人間は未知のものに出会うと、その現象の正体を探ろうと躍起になります。昔の人が自然現象を妖怪にしたのと同じです。タロット占いの場合、当たる原理が分からない為、心理学に答えを求めたのでしょう。
人々を魅了して止まないタロット
もし、タロット占いがインチキであるならば、現代タロット占いが誕生して約50年の間に淘汰されているはずです。今も消えず、愛されているということは、それだけ人々を魅了して止まない存在なのでしょう。
美しい絵柄から紡ぎ出される過去と現在、そして未来。これからも、迷える時のよきパートナーであり続けることは間違いありません。
広島県海田町出身。恋愛記事からビジネス文書まで幅広く手掛けるライター。古典芸能に携わっていたことから、日本文化について少し詳しい。 |